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FAS業務の内容と公認会計士におすすめな理由を紹介

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公認会計士の方で監査経験が4~5年になるとFAS(M&A)業務に興味がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

  • FASの業務内容は?
  • FASの年収水準は?
  • どうすれば転職できる?
くまの助

こんにちは。FAS出身の公認会計士のくまの助です。

この記事では、FAS(Financial Advisory Service)業務に興味がある方に、FAS業務の内容と、公認会計士の転職先としておすすめする理由を紹介します。なお、FASの転職先はBIG4(デロイト、KPMG、PwC、EY)をおすすめします。
(参考:BIG4 FASのランキングでの比較はこちら

公認会計士の方であれば、監査・会計の実務経験、知識を活かして、M&A未経験でもFASで活躍できる可能性が高いです

また、将来独立を考えている方にも、スキルアップのためにFASはオススメです。

公認会計士の方が関与するM&A関連業務は以下の通りで、多岐にわたります。

公認会計士が関与する主なFAS(M&A)業務
  • ファイナンシャルアドバイザリー業務
  • 財務デューデリジェンス業務
  • 財務モデリング業務
  • バリュエーション業務
  • PMI業務
  • 事業再生

また、FAS業務が公認会計士におすすめな理由は以下の通りです。

FAS業務が公認会計士におすすめな理由
  • 業務内容が会計・監査実務と親和性がある
  • 様々なスキルが身に付く
  • やりがいがある
  • 年収が高い
  • M&A未経験でも転職可

FASは、監査実務経験が5年程度ある公認会計士の方であれば、M&A業務未経験で転職可能です。

ただし、希望する業務や、M&A業界の情報収集のために、公認会計士向けの転職エージェントへの登録をオススメします。
FASへの転職難易度は決して低くはありませんが、しっかりと対策をすれば、転職は決して不可能ではありません。
(参考:FASの転職難易度とFAS向け転職エージェントを徹底解説)

FASに転職する際にオススメのエージェントは、マイナビ会計士【ジャスネットキャリア】 です。

参考記事:マイナビ会計士の評判に関する記事はこちら

※マイナビのプロモーションを含みます。

この記事の著者

くまの助(Twitter

公認会計士

・大学在学中に公認会計試験に合格。
・BIG4監査法人で監査業務に従事した後、BIG4 FASへ転職し、M&A業務に従事。
・独立開業後も、継続してM&A業務を行っている。

プロフィール詳細はこちら

目次

FAS業務が公認会計士におすすめな理由

FAS業務が公認会計士にオススメな理由

FAS業務が公認会計士にオススメな理由は、たくさんあります。

主な理由は以下の通りです。

FAS業務が公認会計士におすすめな理由
  • 業務内容が会計・監査実務と親和性がある
  • 様々なスキルが身に付く
  • やりがいがある
  • 年収が高い
  • M&A未経験でも転職可

それでは、1つずつ解説していきます。

FAS業務が公認会計士におすすめな理由①業務内容

FASが公認会計士におすすめな理由 ①業務内容

FASが公認会計士にオススメな理由の1つ目は、業務内容です。

M&Aの一連のプロセスは上図の通りで、そのうち公認会計士が関与する業務は以下の通りです。

公認会計士が関与する主なFAS(M&A)業務
  • ファイナンシャルアドバイザリー業務
  • 財務デューデリジェンス業務
  • 財務モデリング業務
  • バリュエーション業務
  • PMI業務
  • 事業再生(後ほど図解)

これらの業務は、公認会計士の方が監査・会計実務で培った経験や、試験で得た知識を活用する場面が多くなります。

そのため、監査経験がある公認会計士の方であれば、上記業務を行うベースの知識はお持ちです。

それぞれの業務の具体的な内容は、後ほどご説明します。

FAS業務がおすすめな理由②スキル

FASが公認会計士にオススメな理由の2つ目は、M&A関連のスキルが身に付くことです。

M&Aのどの業務に関与するかで得られるスキルは異なりますが、どの業務を経験したとしても監査法人では得られないスキルを獲得できます。

くまの助

会計、監査、税務以外にFASのスキルがあると独立で大きな武器に!

FAS業務がおすすめな理由③やりがい

FASが公認会計士にオススメな理由の3つ目は、業務そのもののやりがいです。

M&Aを成功に導くために、クライアントと同じ方向を向いて、業務を進めていくプロセスは、監査では得られない経験です。

M&Aは、規模にもよりますが、1~2ヶ月ぐらい短期間で買収対象会社を調査して、買収価額の決定・契約交渉を行います。

これは相当な作業量です。

そのため、クライアントもアドバイザーもかなり疲弊します。

だからこそ、無事にM&Aが成功した場合には、クライアントから感謝されることが多く、そこにやりがいを感じる方も多いです。

くまの助

その他、M&Aで要求される知識は、会計も税務もハイレベルで専門性にやりがいを感じる人も。

FAS業務がおすすめな理由④年収

FASが公認会計士にオススメな理由の4つ目は、年収水準が高いことです。

BIG4のFASであれば、シニアスタッフで年収1,000万円を超えることも多く、監査と比べても年収は100~200万円程度高くなっています

また、マネージャー以上になっても年収はどんどんあがっていき、業績次第ではシニアマネージャーで年収2,000万円を超える方も出てきます

FAS業務がおすすめな理由⑤未経験可

FASが公認会計士にオススメな理由の5つ目は、M&A未経験でも転職が可能なことです。

M&A件数は、コロナ禍で一時的に下がりはしたものの、年々増加傾向にあります。

また、昨今の働き方改革の影響で、一人当たりの業務量を抑える方向にあるため、常に人が不足している状況です。

なお、一般的にFASの業務経験がある公認会計士は徐々に増えているものの、まだまだ少数派です。

そのため、FAS業務未経験でも、公認会計士で監査経験が5年程度あれば、FASに転職可能です。

30代未経験会計士の転職に関する記事はこちら
>> 【公認会計士の転職】30代 未経験ならFASへの転職をおすすめ~失敗しないために~

FAS業務の内容を公認会計士が解説

FASのM&A関連業務の内容を公認会計士が解説

FASの業務内容を解説していきます。

FASの業務は多岐にわたりますが、M&A関連業務は上図の通りです。

ここでは、M&A関連業務の詳細をご説明します。

FAS業務の内容 ①ファイナンシャルアドバイザー

FASの業務内容 ①ファイナンシャルアドバイザー

FASの業務内容の1つ目は、ファイナンシャルアドバイザー(FA)です。

これは、投資銀行や証券会社等が主に行っている業務ですが、FASでも行っています。

業務内容としては、M&Aの一連のプロセスのコントロールと、売主との交渉が主な役割で、M&A全体プロセスにかかわる最も重要な役割です。

M&Aの一連のプロセスで、関与する会計・税務・ビジネス・法務等の専門家を仕切る必要があり、全分野に幅広い知識や経験が必要になります

公認会計士でFAをされる方は多くありませんが、FA業務を行う場合は、数字面の強みを活かせる点が強みとなります。

FASの業務内容 ②財務デューデリジェンス

FASの業務内容 ②財務デューデリジェンス

FASの業務内容の2つ目は、財務デューデリジェンス(DD)です。

財務DDは、PL・BSの分析が中心になるため、監査業務との親和性が最も高い業務です。

財務DDでは、買収対象会社の財務状況を調査して、財務リスクや、買収価額への影響を分析します。

下の図の青枠で囲っているところが、財務DDの検討範囲となります。

FASの業務内容 ②財務デューデリジェンス詳細

買収価額は、買収対象会社の事業計画をもとに、将来のキャッシュフローを現在価値に割り戻すことにより(DCF法)、株式価値を計算します。

DCF法による買収価額は、事業計画に左右されますが、その実現可能性には疑義が残ります。

そのため、事業計画のベースとなる財務実績を分析し、実績と計画の連続性を検証することで、事業計画の信頼性を担保します。

この財務実績を検証することが、財務DDの役割となります。

具体的には、以下の項目が財務DD検討項目となります。

主な財務DDの検討項目
  • 収益性(正常収益力)
  • 運転資本
  • 設備投資
  • 非事業用資産
  • 有利子負債
  • 必要最低現預金、資金繰り
  • その他、潜在債務、会計方針、決算体制等

財務DDは、PL・BSの分析が中心となるため、監査実務との親和性が高く、公認会計士の方が最も関与しやすい業務となります。

FASの業務内容 ③財務モデリング

FASの業務内容 ③財務モデリング

FASの業務内容の3つ目は、財務モデリングです。

財務モデリングは、買収対象会社の事業計画の財務3表(PL・BS・CF)を作成する業務です。

下の図のように、計画期間のPL、BS、CFを作成し、その一部を利用して株式価値評価(DCF法)をすることになります。

FASの業務内容 ③財務モデリング詳細

財務モデリングでは、売上高は単価×数量、売上原価は売上高×原価率というように将来予測数値を作成し、その積み上げで計画を作成します。

同じような手順でBSを作成し、PLとBSからCFを作成します。

FASの業務内容 財務モデリング

財務モデリングは、PL、BS、CFの取り扱いに慣れた公認会計士には向いている業務です。

また、PEファンドでは、投資採算の検討に財務モデリングのスキルが非常に重視されるため、将来PEファンドに転職したい方には必須スキルです

FASの業務内容④バリュエーション

FASの業務内容 ④バリュエーション

FASの業務務内容の4つ目は、バリュエーション(株式価値評価)です。

バリュエーションは、買収対象会社の価値を算定することです。

バリュエーションで買収対象会社の価値を算定するアプローチは、3つあります。

バリュエーションの価値算定アプローチ
  • インカムアプローチ(DCF法等)
    対象会社の将来の収益力に着目する方法
  • マーケットアプローチ(類似会社比較法等)
    同業他社の指標で対象会社を評価する方法
  • コストアプローチ(修正簿価純資産法等)
    対象会社の純資産をもとに評価する方法

実務上、最もよく使用されるのは、①インカムアプローチのDCF法です。

DCF法は、将来のフリーキャッシュフローを現在価値に割り引いて価値を算定する方法で、下記の計算を行います。

FASの業務内容 ④バリュエーション詳細

その他、DCF法の計算では現在価値に割り引くための割引率の計算も行うのですが、話が複雑になるので割愛します。

なお、業務には、株式価値評価以外にも無形資産の評価(PPA)や、ストックオプションの評価等もあります。

公認会計士の方にとっては、監査実務や、受験勉強時代になじみがあることから、抵抗なく取り組める業務かと思います。

FASの業務内容 ⑤PMI

FASの業務内容 ⑤PMI

FASの業務内容の5つ目は、PMI業務です。

PMI業務は、「Post Merger Integration」の略で、M&A実施後の統合プロセスを指します。

M&Aが成功するかどうかは、PMIが成功するかどうかにかかっており、M&Aプロセスの中でも最も重要なプロセスです。

FASの業務内容 PMIイメージ

FASでは、PMI部隊を抱えており(多くはビジネスDDを実施するコンサル部隊)、そのメンバーを中心にPMI業務を行うことになります。

業務イメージとしては、DD時の発見事項や、統合後の課題を整理して、買い手と対象会社の混成チームで、PMO・各分科会(経営管理、営業、調達、人事、財務、システム等)を立ち上げて、各分科会単位で対応策を検討します。

FASのメンバーは、PMOや各分科会をサポートする形で関与します。

公認会計士の方は、財務の分科会として関与することが多くなります。

主な業務内容は、以下の通りです。

PMI:経理分科会の業務
  • PPA(無形資産評価)の検討
  • 会計方針の統一
  • 連結の取り込み方針の検討
  • 決算早期化
  • CMSの導入
  • 経理システムの入れ替え

このようにPMIは、財務コンサルの色合いが強くなってきますが、財務分科会であれば、監査経験があれば、概ね業務イメージはわくのではないでしょうか。

FASの業務内容 ⑥事業再生

FASの業務内容 ⑥事業再生

FASの業務内容の6つ目は、事業再生です。

事業再生は、M&Aとは異なるのですが、必要なスキルはM&A業務と非常に似ています

具体的なイメージは以下の通りです。

FASの業務内容 ⑥事業再生イメージ

まずは、財務デューデリジェンスを行い、PLやBSが本当はどれほど傷んでいるのか、またそのような状態に陥った原因(窮境原因)を調査します。

また、再生企業は粉飾をしている可能性が高く、資産評価を行うことで実態BSを作成します。

その後、再生可能性を見極めたうえで、再生施策を立案し、事業計画(PL・BS・CF)を策定します。

事業計画に基づく将来キャッシュフローから、返済可能な債務額を見積もり、返済可能な金額は金融機関に返済し、返済が難しい部分は返済期限の延長や、債務免除を金融機関と交渉します。

また、再生の実行・資金注入のために、スポンサーから出資を受けることもあり、その場合はM&Aと同様のプロセスとなります。

上記のように、事業再生は、M&A業務と似ている部分が多数あり、数字に強い公認会計士が活躍できる場面は非常に多くあります。

FASの年収水準

FASの年収水準

FASの年収水準は、監査と比べてもかなり高いです。

というか、日本の中でもこの水準より高い業界は、それほどありません。

FASの年収水準(BIG4)

BIG4のFASの職位の年収の関係は以下の通りです。

BIG4間で多少は差がありますが、概ね同水準です。

スクロールできます
職位経験年数年収
スタッフ3~4年程度500~800万円
シニアスタッフ3~4年程度800~1,100万円
マネージャー3~4年程度1,200~1,800万円
シニアマネージャー3~4年程度1,600~2,100万円
ディレクター/パートナー2,500万円~

私は、シニアマネージャーまではFASで経験しましたので、概ね正確かと思いますし、他のFASの求人を見ても概ね上記の通りかと思います。

なお、ディレクター/パートナーは経験していないので、経験談ではないですが、噂によると役職があがっていくと億を超えていくようです。。。

くまの助

業務自体は大変だけど、年収水準は魅力的ですよね!

【関連記事】
BIG4 FASの年収に関する記事はこちら>>

FASに転職するためには?

FASに転職するには?

FASに転職するには、転職エージェントに登録することをオススメします。

もちろん企業サイトの求人から応募してもいいのですが、いくらM&A未経験でも問題ないといっても、面接には一定の準備が必要です。

転職エージェントに登録して、色々と情報収集しておきましょう。

準備なしで挑むと普通に落とされますので、注意してください。

くまの助

最低限、自分が希望する業務や、M&Aの一連のプロセスは必ず勉強しておこう!

 

FASの転職先

FASの転職先として、オススメするのはやはりBIG4です。

経験できる業務・所属メンバーの質、年収水準、身に付くスキルのどれをとっても、中堅のFASで得れるものとは差があります

具体的に、BIG4のFASは以下の通りです。

BIG4のFAS
  • KPMG FAS(KPMG ファイナンシャルアドバイザリーサービス)
  • DTFA(デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー)
  • PwCアドバイザリー
  • EY SC(EY ストラテジーアンドコンサルティング)

どの法人も人が足りない傾向にあり、積極的に採用活動を行っています。

FASへの転職は難しい?

FASへの転職は、公認会計士であれば、それほど難しくありません。

公認会計士としてしっかり実務経験を積んでいて、面接でそれを説明できれば、合格できます。

ただし、自分がやりたい業務の内容や、M&A業務の一連のプロセスは勉強しておきましょう。

【関連記事】
BIG4 FASの転職難易度に関する記事はこちら>>

FAS未経験でも転職可能?年齢は?

FASは、M&A業務が未経験でも転職可能です。

また、公認会計士の方は、年齢は30歳前後で転職される方が多いです。

そもそも、監査の実務経験を5年程度積んでから、FASへ転職すると自然に30歳前後になろうかと思います。

くまの助

もちろん転職は早い方がいいけど、35歳を超えても転職可能性はあります!

FASに転職するための転職エージェント

FASに転職するための転職エージェントとしては、ジャスネットキャリアとアクシスコンサルティングがオススメです。

どちらもFASの求人はあると思いますので、双方登録して、BIG4の情報を入手するのがオススメです。

エージェントには、実際FASを経験された方もいらっしゃるので、直接話を聞いてみることをオススメします。

FASに転職するための転職エージェントとしては、【マイナビ会計士】【ジャスネットキャリア】 がオススメです。

FASの業務内容と公認会計士におすすめな理由を紹介 まとめ

FASの業務内容と公認会計士におすすめな理由を紹介 まとめ

この記事では、私の経験を踏まえ、FASのM&A業務内容と公認会計士におすすめする理由について解説しました。

興味をもっていただけましたか?

M&A業務は、その性質からハードになりがちですが、その分スキルや、収入として自分に返ってくるため、スキルアップや将来の独立を目指す公認会計士の方には非常にオススメの業界です。

独立前に2~3年、スキルアップのための修行として転職するのもいいと思いますし、実際そのような方もいます

公認会計士が関与する主なFAS(M&A)業務
  • ファイナンシャルアドバイザリー業務
  • 財務デューデリジェンス業務
  • 財務モデリング業務
  • バリュエーション業務
  • PMI業務
  • 事業再生

M&A業務をやってみたいという方は、転職エージェントに登録して、情報収集から始めてみてください

FASに転職する際にオススメのエージェントは、【マイナビ会計士】【ジャスネットキャリア】 です。 PVアクセスランキング にほんブログ村
くまの助
公認会計士
【ブログ】
公認会計士やFASの転職や、簿記や公認会計士の勉強について解説する簿記・ファイナンスブログを運営。
【経歴】
大学在学中に公認会計士試験に合格。BIG4 監査法人へ入社し監査業務に従事したのち、BIG4 FASへ転職してM&A業務に従事。その後、独立して継続してM&A業務に従事している。

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