監査法人で働くあなたには、次のような悩みがあるかもしれません。
- 監査法人を辞めたいと考えているが、いつがベストなタイミングか分からない
- 1年や2年で辞めることに後悔しないか?
- 監査法人を辞めたあとの転職先は?
こんにちは。公認会計士のくまの助です。
多くの監査法人勤務者が、このような疑問や不安を抱えています。実際、監査法人で働く人の離職率は高く、1年目や2年目で退職する方も少なくありません。
そこで、この記事では監査法人を辞めたい方が抱える疑問に対し、最適な退職タイミングを徹底解説します。私自身も監査法人で働いていた経験があり、その後FASへ転職しました。
その経験をもとに、退職タイミングの判断基準や退職後のキャリアプランの検討方法をお伝えします。
- 最適な退職タイミングの見極め方が分かる
- 退職後のキャリアプランの立て方が理解できる
- 悔しない決断ができるようになる
ただ、あまりにも経験年数が少ない状態で辞めてしまうと、監査法人での経験が活かせません。
私もシニアを1年経験してから、FASに転職しましたが、監査の経験がかなり役にたちましたので、シニアまで経験して本当に良かったと思っています。
転職先で迷った場合には、公認会計士におすすめの転職エージェントを利用して、話を聞いてみるのもおすすめです。
担当者がかなり業界に詳しいため、転職マーケットや業界情報、業務内容について詳細に説明してもらえます。おすすめは、MS-Japan、マイナビ会計士、レックスアドバイザーズです。
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くまの助(Twitter)
・大学在学中に公認会計試験に合格。
・BIG4監査法人で監査業務に従事した後、BIG4 FASへ転職し、M&A業務に従事。
・独立開業後も、継続してM&A業務を行っている。
監査法人を辞めたい。。監査法人を辞めたい理由
監査法人に勤務されている方の退職が続出していると最近よく耳にします。
監査法人を辞めたいと思う代表的な理由は以下の通りです。
・監査以外の仕事をしたい
・監査の仕事がつまらない
・マニュアル対応や、グローバルのツール対応が多く、本質的な監査ができない
・激務でつらい、仕事についていけない
・クライアントから感謝される仕事をしたい
上記はすべて、昔からよくある理由かと思いますが、最近はこのように思う方が増えてきている印象です。近年の監査法人の状況を踏まえ、1つ1つ理由を解説していきます。
監査以外の仕事をしたい
公認会計士の独占業務は監査業務ですが、公認会計士登録が終わる入社から4年を経過する前後の時期から監査法人を辞めて、監査以外の業務に従事される方が増えてきます。
監査以外の仕事をしたいと思う理由なさまざまですが、公認会計士は他の士業と比較してもかなり業務領域が広く、監査以外にも税務、FAS、コンサル、事業会社の経理・経営企画・内部監査、ベンチャー企業CFO等が選択肢にあります。
そのため、公認会計士登録後に自分の興味がある領域に転職される方が多くなります。
また、公認会計士の業務の中で、監査は決して給料が高い業務ではなく、FASやコンサル領域に転職して年収アップを狙う方も一定数いらっしゃいます。
監査の仕事がつまらない
監査の厳格化にともない監査マニュアルや監査基準委員会報告書が拡充され、年々監査手続きが増加しています。
従前の監査ではマニュアル等はそれほど整備されていなかった一方で、各監査人の裁量で監査手続きを決められる部分も多かったため、自分でじっくり考えたうえで、適切な監査手続き実施することができていました。
しかし、近年では膨大なマニュアルやチェックリストをつぶすのに必死で、適用すべき監査手続きを自分でじっくり考える時間がなくなっており、監査の面白みが薄れつつあるため、監査法人を辞める方が増加傾向にあります。
マニュアルやグローバルツールの対応がつらい
BIG4の監査法人によくある話ですが、毎年のように監査マニュアルが厳格化されることで監査手続きが増加し、業務負荷も増加傾向にあります。
また、グローバル監査ツールやシステムへの移行により、本質的な監査業務以外の業務が定期的に発生します。この業務負荷が意外とバカにならず、工数がかかるわりには本質的な業務改善になりにくいので、不満の声がよく聞こえてきます。
これらの要素も公認会計士の方が監査法人を辞めたいと思う1つの要因となっています。
激務でつらい、仕事についていけない
監査法人では、働き方改革が進んできており、スタッフの方の稼働時間自体は減少傾向にあります。しかし、相変わらず激務でつらい、仕事についていけないという声があがっています。
この要因は、スタッフの稼働時間が減少した分、上位のシニアスタッフやマネージャーにしわ寄せがきていることにあります。その結果、シニアスタッフやマネージャー以上の方が疲弊し、退職する方が続出している状況にあります。
一方で、稼働時間が減ったスタッフも、リモートワークに起因するコミュニケーション不足による習熟度の低下や、モチベーションの低下という状況に陥っています。
そのため、スタッフからマネージャーにかけて、幅広い年代で監査法人を辞められる方が増加傾向にあります。
>>監査法人でついていけない方、業務がきつい、辛いと感じる方はこちら
クライアントから感謝される仕事をしたい
監査業務は、クライアントの会計処理の誤りを指摘するという業務の性質上、どうしてもクライアントからは煙たがられてしまう業務です。また、会計処理に関する見解の相違が生じやすく、なかなか折り合わないことも多いです。
このような場面に遭遇するとどうしても監査業務が嫌になってしまい、クライアントから感謝されるコンサルティングや財務アドバイザリー系の仕事をしたいと考え、監査法人を辞めたいと思われる方も多いです。
監査法人を1~2年で辞めたい方へ
近年、公認会計士試験に合格したものの入社後1~2年で辞められる方が増えているように思います。入社後1~2年で監査法人を辞めることの是非について解説します。
監査法人を1~2年で辞めるのは基本的におすすめしない
タイトルの通りではありますが、監査法人を入社後1~2年程度で辞めるのは基本的にはおすすめしません。
特に、転職後に会計や財務関係の仕事をしようとされている方は4~5年程度は監査を経験しておいた方がいいかと思います
監査法人に在籍していると監査の過程で、上場会社の組織設計や管理体制、内部統制、財務会計、管理会計等学ぶことができるため、退職後に会計や財務関係の仕事をしたい方は監査をしっかりと経験しておいた方がいいと考えます。
正直なところ、入社1~2年間は、自分の割当をこなすのに精一杯でクライアントの組織設計や管理体制等にまで十分に意識がいかないと思います。
シニアスタッフに昇格し、主任経験があるとこのあたりも見えてくると思いますので、よっぽどの理由がない限りは1~2年で退職するのはもったいないかと思います。
監査法人を1~2年で辞めてもやむを得ない
前述の通り、基本的には監査法人を1~2年で辞めることはおすすめしないのですが、以下のようなケースでは1~2年で退職することもやむを得ないかと思っています。
1.どうしてもやりたい仕事があり若いうちの転職が有利(投資銀行、戦略コンサル等)
2.監査に向いておらず、続けることがどうしても難しい
3.人間関係で悩みがあり、転職しないと解消されない
1点目は、投資銀行や戦略コンサル等については、公認会計士に合格したことを武器にして、投資銀行や戦略コンサルに転職するケースです。
公認会計士試験に合格したことがプラスで評価されるため、投資銀行や戦略コンサルで仕事をしたい方は転職を目指すのはありかと思います。
ただし、かなりの狭き門であるため、公認会計士資格があってもなかなか内定をもらうのは難しいので、それなりの覚悟は必要です。
2点目、3点目は、どうしても現職で勤務継続が難しいと思われるようなケースです。特に3点目については、上司のパワハラ等で転職以外に解消する手段がない場合は、辞めてしまうのもやむを得ないと思います。
あたり前ですが、監査法人で得られる経験よりも、自分の肉体的、精神的な健康を重視しましょう。
監査法人を辞めるタイミング(何年で辞めるか?)
監査法人を辞めるのは、以下の3つタイミングがおすすめです。
- 修了考査合格後(4年目~)
- シニア昇格1~2年後
- マネージャー昇格1~2年後
それぞれのタイミングで辞めるメリットを以下でご紹介します。
修了考査合格後(4年目~)
まず1番初めに辞める方がまとまって出てくるのは、修了考査合格後でしょうか。
修了考査に合格後に公認会計士登録が可能となるため、当然と言えば当然です。
公認会計士登録する頃には、監査経験も4年目になっていると思いますので、監査も勘定科目も一通りは経験していることになりますので、最低限の経験を積んでいると言えるでしょう。
逆に修了考査合格前の転職は、知識も経験も十分ではない状態なので非常にもったいないと思います。
シニア昇格1~2年後
個人的には、シニア昇格1~2年後のタイミングが、監査法人から転職する最も良いタイミングだと思っています。
このタイミングでは、監査のインチャージも経験していると思いますし、会計や監査の知識・経験も成熟してくる頃だと思います。
事業会社や、FAS、税理士法人に転職するにしても、インチャージ経験があれば、十分な経験があるとみられます。また、年齢も30歳前後となるため、転職のタイミングとしては良い時期となります。
マネージャー昇格1~2年後
監査法人を辞める次のタイミングは、マネージャー昇格1~2年後となります。
このタイミングでは、監査は十分に経験されていると思うので経験や知識としては問題ないでしょう。
このタイミングで辞めたいと思われる方は、マネージャーまで昇格したものの、想像以上の管理職の忙しさに疲れてしまった方が多いのではないでしょうか。
最近のマネージャーの方は、個別調書を作りつつ、チームの管理をし、パートナーや審査担当社員からのレビュー対応をするという、かなり広範な業務をこなされていると思います。
これでは、辞めたいと思うのは仕方ないと思います。
マネージャーの方は、年収も1,000万円前後になっていると思いますが、監査以外は未経験ですし、年齢も30歳を超えていると思います。
そのため、年収や経験、年齢がネックとなり、転職が難しくなっていく傾向にあるので、転職のタイミングは気を付ける必要があります。
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監査法人を辞めるタイミング(何月に辞めるか?)
続いては、監査法人を何月に辞めるのが良いかを解説します。
結論として、おすすめのタイミングは、期末監査業務終了後の6月~9月ごろとなります。
逆に決算月前の1~3月は、チームメンバーに迷惑をかけることになるためおすすめしません。
おすすめのタイミング 6~9月
監査法人を辞めるおすすめのタイミングは、3月決算の会社の期末監査業務の終了後である6月~9月となります。
この時期には、年度が終了してチーム体制も変更になるため、最もチームメンバーに迷惑がかからない時期となります。
よく言われる話ではありますが、会計士の業界は狭い世界です。
転職しても元上司と仕事で会う機会はよくありますので、会社ともめる形で退職することはおすすめしません。
なお、多くの監査法人では決算賞与が8月~9月ごろになると思いますので、タイミングさえ合えば、決算賞与をもらって退職するのもいいかと思います。
おすすめしないタイミング 1~3月
3月決算の会社の決算前である1~3月は、監査法人を辞めるタイミングとしておすすめしません。
理由は単純に、チームメンバーに迷惑をかけるからです。期末監査前にチームの主要メンバーが辞めると監査チームは間違いなく混乱します。それが、インチャージとなれば影響力はより大きくなります。
先ほど申し上げた通り、狭い業界ではありますので、会社ともめる形で会社を辞めることはおすすめしません。
監査法人を辞めたい方におすすめする転職先
監査法人からの主な転職先は以下の通りで、多岐にわたります。これが、公認会計士の資格の最大の強みでもあります。
- M&A系 :FAS、経営企画部、PEファンド、投資銀行
- 会計・税務系 :税理士法人、財務アドバイザリー、経理部
- 監査系 :監査法人、内部監査部門
この選択肢の広さからも分かるように、他の資格と比較して、公認会計士の転職は最強と言えるのではないでしょうか。
以下で、各転職先の特性を1つ1つ解説していますので、転職の参考にしてみてください。
監査法人からの転職先 ①M&A系
M&A系の転職先としては、FAS、経営企画部、PEファンド、投資銀行が挙げられます。
ただ、監査法人から直接、経営企画部や、PEファンド、投資銀行に転職することは難しいです。
そのため、これらの職種に興味がある方は、一度FASを経由してから、転職することをおすすめします(PEファンドや、投資銀行はFAS経由でも難しいですが。)。
FASは、公認会計士で監査経験が4~5年程度あれば、M&A業務自体は未経験でも転職可能なので、M&A業務に興味がある方にはおすすめです。
なお、FASへの転職は、得られるスキルも多いですが、監査以上に忙しくなるので、ワークライフバランスを多少犠牲にしてでも、スキルアップして、年収をアップしたい方に向いています。
専門性や収入を求めるならば、FASがおすすめです。
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監査法人からの転職先 ②会計・税務系
会計・税務系の転職先としては、税理士法人、財務アドバイザリー、事業会社の経理部があげられます。
これらは、監査法人から転職される方には最もメジャーな転職先かと思います。
将来の独立を見据えて、税務を経験しておきたいなら税理士法人。会計スキルを活かした会計系のコンサルティングに興味があるのであれば、監査法人の財務アドバイザリー部門。ワークライフバランスを充実したいなら経理部というところでしょうか。
会計・税務系の転職先は選択肢が多いので、転職前にご自身が希望する業務や働き方を整理しておきましょう。
監査法人からの転職先③監査系
監査系の転職先としては、他の監査法人や事業会社の内部監査部門があげられます。
監査法人を辞めたいと思っている方は、監査はもういいと思われている方もいらっしゃると思いますが、監査を継続したいと思っている方にはおすすめです。
例えば、BIG4の方はグローバルルールへの準拠や、年々増加する監査手続きに嫌気がさしている方もいらっしゃると思いますが、中小の監査法人では人がいない分、個人の裁量が大きくなる傾向にあります。そのため、BIG4と比較すると自由に監査ができる環境があります。
また、事業会社の監査部門に転職した場合には、監査の経験を活かしつつも、ワークライフバランスを整えることも可能となります。
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監査法人を辞めたい方へおすすめの転職エージェント
USCPAの方が監査法人へ転職する際のおすすめの転職エージェントは、MS-Japanとマイナビ会計士です。
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転職活動では、情報を入手して対策できるかで、成功確率が変わるので、情報収集に転職エージェントをうまく活用することをおすすめします。
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【関連記事】:MS-Japanの評判に関する記事はこちら
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【監査法人を1年・2年で辞めたい方へ】最適な退職タイミングを徹底解説 まとめ
この記事では、監査法人からの退職を検討されている方向けに、監査法人を辞めるおすすめのタイミングをご紹介してきました。
公認会計士は監査業務が独占業務となっていますが、公認会計士が活躍できるフィールドは、監査以外に多数あります。
監査法人で、しんどい思いをして、モチベーションが下がるぐらいであれば、他の業種に転職することをおすすめします。
ただし、あまりにも経験年数が少ない状態で辞めてしまうと、監査法人での経験が活かせないので、個人的には以下のタイミングで退職することをおすすめします。
・修了考査合格後(4年目~)
・シニア昇格1~2年後
・マネージャー昇格1~2年後
なお、公認会計士の転職先は大きく、①M&A系、②税務・会計系、③監査系の3つが挙げられます。自分自身がやりたいことに合わせて転職先を選べるのが公認会計士のいいところですので、自分が進みたい方向をじっくり考えてみてください。
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